部下に威圧的な態度をとる未熟な上司

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上司はいかなる場面でも部下に対して威圧的な態度を取らないことを勧めたい。威圧的な態度をとる上司の下で辛い思いをしている部下が一人でも減ってほしいと思って本エントリーを書いた。

怖い上司へ不満を感じている部下は多い

どうやら威圧的な態度を取る上司は思った以上にたくさんいるようだ。自分が27歳という年齢のためか、同世代の友人で転職する人が増えている。
加えて、会社も採用強化中ということもあり、求職者から前職の仕事の話を聞く機会が多くなった。

そこで驚いたのは、威圧的な態度をとる上司への不満が多いことだ。

「仕事でミスをしたときに、上司に後ろから椅子を蹴られました。悔しくてトイレでしばらく泣きました」(営業職 女性)
「目標未達を報告したら、会議室で2時間詰められました。なんでこんなこともできないのか?と何度も詰められました」(企画職 男性)
「事業部の飲み会で酔った上司から自分のダメなところをみんなの前で説教されました。早く終われと思いながらグッと堪えるしかありませんでした」(開発職 男性)

10人話したらこんなエピソードを3〜4人からこんな話を聞く。特に大企業のリーダー、マネージャーに多いようだ。

こういった体育会系の部下を恐怖させるマネジメントは減りつつあるのかと思っていた。今は、パワハラのような言葉が一般化しているので簡単に怒鳴ったりすることはできない。
マネジメントやコーチングの本は山ほど出版されているので、上司も自ら学ぶことができる(部下に威圧的な態度を取るべきという本には出会ったことがない)。

それにも関わらず現在でも、威圧的な態度をとる上司はまだまだたくさんいるようだ。

威圧的な態度を取っても良いという勘違い

部下に威圧的な態度を取ってしまう上司の気持ちはよく分かる。自分が威圧的な態度をとる未熟な上司(社長)だったからだ。

2012年、創業当時の人事評価面談で部下を含めた社員が自分向けに書いた「課題」を見ていただきたい。

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ひどすぎる。

一行目から、いかに暴君であったかが分かる。これを講演などで読み上げると笑いが取れる。なぜだろうか。

当時22歳の自分のスタンスはこうだ。
「おれは言いたいことはハッキリ言うし、お前も言えばいいだろ?遠慮せずバチバチ本気で議論して早く結論にたどり着こうぜ?」

これがもっとも効率がよいコミュニケーションだと勘違いしていた。
どんな言いにくいことも歯に衣着せずストレートに言った。相手の感情がどうなるかよりも、簡潔で正しいことを優先した。

10代の頃、試合中にコーチからビンタされて鼓膜が破れるよう体育会系の部活に入ってたので、ピリピリとした雰囲気に慣れていたことも一因かもしれない。

幸い自分は、弊社の顧問や共同創業者の度重なる説得により「自分の勘違い」に気付くことができた。

それは、上司から威圧的な態度を受け続けると、部下は発言する気力を失ってしまうということだ。

「言いたいことを言い合えば良い、感情なんて細かいことを気にする時間が無駄だ」というのは勘違いだった。

部下は上司から何度も否定されたり、異論を受け付けない態度を取られたりすると「もうこの人に何を言っても無駄だ」と諦めてしまう。

そうなると部下は自分で考えなくなり全てを上司の顔色を伺って判断しようとする。というよりも、そうせざるを得ない。
やがて、部下は仕事のやりがいを見いだせなくなり退職するか、本当に最悪の場合、自殺のような悲劇を引き起こすのかもしれない。

ただ、そういった上司も部下を苦しめることを目的にしているわけではない。
威圧的な態度をとる上司はそのような態度で教育することが良いという勘違いをしている。
部下を萎縮させることは、百害あって一利もない非生産的な行動だということを分かっていない。

上司から部下に歩み寄って理解に徹する

7つの習慣」に「まず理解に徹し、そして理解される」という言葉がある。
部下の能力を最大限に引き出そうとするなら、いかなる場面でも理解に徹しなければならない。なぜなら、人は相手が理解してくれたと感じてはじめて、相手を理解しようと思うからだ。
部下がなぜそう考えたのか、上司の方から目線を下げて、部下に歩み寄ることが理想的だが、現実は上司が部下に歩み寄ることを求めることが多い。

否定」や、答えに辿り着かせようとする「誘導尋問」は厳禁である。本気で理解しようとしているかどうか、相手は敏感に感じ取る。部下の話を聞く時は、正しい、正しくないの判断を捨てて耳を傾ける必要がある。

そもそも部下の仕事ができないのは、100%上司の責任である。部下の能力を見極め、少し頑張れば達成できる目標とそこまでのプロセスを与えることが上司の責務のはずだ。

それにも関わらず部下に威圧的な態度をとるのは、部下に責任転嫁して自分が無能だと全力でアピールしているようなものだ。
部下は、上司の未熟さにとても敏感である。この点に関しては「幸せになる勇気」から一部引用したい。

暴力(暴行・叱責・怒り)は、コミュニーケーションの目的である「合意を形成する」ことを最も低コストに実現するために採られる、未熟な手段。
暴力を受けた相手は「この人は未熟な人間なのだ」という洞察を無意識下で持つようになり、尊敬することはなくなり、軽蔑の念を育む。

ただ、分かっていても直ぐに変わるのは難しいのが人間だろう。

なので自分は、全従業員の前で「相手に威圧的な印象を与えるような言動は一切やめる」と宣言をした。去年160名以上が見る社内広報用動画で、「威圧的な印象を一切与えない」と宣言した動画を撮り見てもらった。

自分の至らぬ点を正直に話して、仲間に監視役になってもらえば、全てのコミュニケーションで意識することができる。

加えて、部下に対する発言のはじまりを「ありがとう」と感謝から始めることにした。必ず感謝から伝えるようにすると、一瞬イラッとしても頭を冷やすことができる。

今は威圧的な印象を与えることがまったくのゼロではないものの、以前と比べるとかなりマシになった。少なとも異論をまったく認めず、相手を黙らせるようなことはないと断言できる。

部下は、上司を選ぶことも、上司の人間性を変えることもできないので、上司が自分で気付いて変わるしかない。
威圧的な態度ばかりとる昔の自分のような上司を持ってしまった部下は本当に不運だ。ほんとうにどうしようもないときは、勇気をもってその環境を離れることが幸せかもしれない。

上司も部下にイライラしていては、每日幸せに働けないだろう。部下の力を活かせなければ、リーダーとして成果をあげることもできない。
つい威圧的な態度をとってしまう上司の方には、次に出社したときに部下に「二度と威圧的な態度を取らない」と誓うことをおすすめしたい。

上司と部下がお互いに信頼しあい、気持ちよく働ける職場が増えると嬉しい。

 

P. S.1
職場だけではなくプライベートでも、相手に威圧的に感じさせる態度を取ることは百害あって一利なしだと考えている。
どんな理不尽な場面でも「理解に徹する」ことができる人間になりたい。

P. S.2
ある中学生向けの講演で「スティーブ・ジョブズは性格悪くても成功しましたけど、それはどう説明しますか?」と質問を受けた。
自分はこう答えた「成功の定義を経済的な尺度に置くなら、良い上司であることはマストではないかもしれない。ただ、自分は数兆円の会社をつくって人類の進歩に貢献したとしても、働く社員が幸せでなかったら何の意味もないと思っている。」
事業の成長、つまり全体最適ばかりに目が行き、社員が幸せに生きることから目を背けない経営者でいたい。

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